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Ubisoft、新たな組織再編と業績低迷

Ubisoft、新たな組織再編と業績低迷

第1四半期の業績、予想を下回る結果に

フランスの大手ゲーム会社Ubisoftは、2025-2026会計年度第1四半期(2025年6月30日締め)の決算を発表し、売上高やネット予約(Net Bookings)が予想を下回る結果となったことを明らかにしました。売上高は前年同期比3.9%減の3億1,080万ユーロ(約3億6,500万ドル)、ネット予約は2.9%減の2億8,160万ユーロ(約3億3,100万ドル)でした。特に主力タイトル「レインボーシックス シージ」の業績が低調だったことや、為替の影響、一部パートナーシップの遅れが響いたとしています。

Assassin’s Creed Shadowsは好調も…

一方で、「アサシンクリード シャドウズ」は期待通りのパフォーマンスを見せ、発売以降のユニークプレイヤー数が500万人を突破。発売後、総ステルスキル数は20億回、プレイヤーによる移動距離は10億キロメートル、動物をなでた回数は3,800万回にのぼるなど、様々な記録が公表されています。ただし、販売本数や売上額に関する具体的な数値は今回も明かされていません。ゲームはサブスクリプションサービスでも提供されており、プレイヤー数の多さが必ずしも売上増加には直結しない現状が浮き彫りとなっています。

レインボーシックス シージXの課題

「レインボーシックス シージX」では、第10シーズンとなるアップグレードが6月10日に導入され、新要素やシステムの刷新によりプレイヤーから高い評価を得ました。しかし、一部でプリペイド通貨カードを利用した不正取引が発生し、一時的にバーチャル通貨の残高が膨らむトラブルもありました。この問題は既に特定・対応済みですが、こうした影響もありプレイヤー課金に一時的な減少が見られました。とはいえ、アクティビティ自体は前年同期比で約25%増加し、6月の月間アクティブユーザー数(MAU)は、コロナ禍ピークの2020年春に次ぐ過去3番目の高水準を記録しました。

組織再編「クリエイティブ・ハウス」構想

Ubisoftは今後の企業体制強化に向け、「クリエイティブ・ハウス」と呼ばれる新たなビジネスユニット制への再編を進めると発表しました。これにより、各部門がより自律的に開発・運営を行い、品質向上と責任ある経営を目指すとしています。3月にはこの方針に基づく最初の子会社設立と専任リーダーの任命も行われました。また、中国大手Tencentとの取引も順調に進んでおり、年内にも承認される見通しです。

売上減少傾向と現状への評価

Ubisoftは、実績として5百万人のプレイヤー獲得や多彩なゲーム内記録を強調する一方で、売上やネット予約といった“実利”の面では引き続き減少傾向が続いています。前年度の通期決算でも見られたこの傾向に歯止めがかからず、今回の四半期でも重要な経営指標が軒並み前年割れとなりました。同社はこの要因について、主要タイトルの想定外の不振や外部環境の変化などを挙げていますが、今後の立て直しが課題となっています。