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稲船敬二氏設立のコンセプト、『Mighty No.9』開発スタジオが突如閉鎖

稲船敬二氏設立のコンセプト、『Mighty No.9』開発スタジオが突如閉鎖

稲船敬二氏が2010年に設立したゲーム開発会社「コンセプト」が、突如として閉鎖しました。私たちは、かつてカプコンの「ロックマン」シリーズで知られる稲船氏が、2017年にLEVEL-5と提携してLEVEL5 コンセプトを設立したことを覚えていますが、今回の出来事は多くのファンにとって驚きとなっています。

しかしながら、コンセプトの閉鎖は、同社の歴史を振り返ると必然だったのかもしれません。稲船敬二氏がカプコンを離れた後に立ち上げたこのスタジオは、2013年にKickstarterで「ロックマン」の精神的後継作品「Mighty No.9」の開発資金として900,000ドルの目標を掲げ、最終的に400万ドル以上を集めることに成功しました。それにもかかわらず、2016年にようやくリリースされた「Mighty No.9」は、批評家からも市場からも複雑な評価を受けることとなりました。さらに、「Red Ash: The Indelible Legend」や「Kaio: King of Pirates」など未発表のタイトルも手がけており、後者については出版社のMarvelousが380万ドルの損失計上を報告しています。私たちはこの記事で、稲船敬二氏の現在の活動や、LEVEL-5との提携後の展開、そして最終的にコンセプトが2026年1月13日に株主決議によって正式に解散するに至った経緯について詳しく見ていきたいと思います。

コンセプトが正式に解散を発表

2026年1月29日付の官報に掲載された解散公告により、稲船敬二氏が設立したゲーム開発会社「コンセプト」が正式に解散したことが明らかになりました。この公告によると、コンセプトは1月13日に開催された株主総会の決議をもって解散したとされています[41]。

注目すべきは、この発表が突然行われた点です。記事執筆時点では、コンセプトの公式ウェブサイトは依然としてアクセス可能な状態にあります。また、2017年にはレベルファイブとの協業で新会社「LEVEL5 comcept」を設立していましたが、稲船氏はすでに同社を退社していました。

さらに、昨年2025年3月3日に、LEVEL5 comceptの全事業がレベルファイブへ譲渡され、「レベルファイブ大阪オフィス」として再編されていたことも明らかになっています[51]。この事業譲渡により、LEVEL5 comceptで進行していた『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』の開発業務もすでにレベルファイブへの引き継ぎが完了していました。

今回の解散は、一連の事業再編の最終段階と見られています。日本の会社法によれば、解散は株主総会での特別決議が必要とされており、コンセプトもこの法的手続きに沿って解散が決定されました。

稲船敬二氏のキャリアとコンセプト設立の背景

カプコンで25年間のキャリアを積んだ稲船敬二氏は、2010年10月に同社からの退社を電撃発表しました。「開発としてはカプコンの頂点を極めた。もう昇る階段はそこにはない」という言葉を残し、新たな挑戦へと踏み出したのです。

稲船氏はカプコン在籍中、「ロックマン」や「鬼武者」シリーズを手がけ、また「ロスト プラネット」や「デッドライジング」など海外展開の旗手としても活躍していました。しかし、日本のゲーム業界の将来を危惧する発言も度々行い、「日本のゲーム業界は終わった」と述べて物議を醸しました。

退社後すぐの2010年12月に株式会社コンセプトを設立し、翌年1月には株式会社インターセプトも立ち上げています。社名の由来について稲船氏は「コンセプトを押さえていろんなことをやっていきたいと考えて創りました」と説明しています。

稲船氏が新会社設立に込めた思いは「アウトプットに制限を付けない会社」でした。彼は「クリエイターのサラリーマン化」こそが日本のゲーム業界の壁だと指摘し、「今までは競争がなかったから」ゲーム業界が停滞していると分析していました。

「苦難を選ばなければ、つまらない」という信念のもと、「カプコンの900人の部下を捨てて、たった20人の会社を立ち上げ」、新たな挑戦を始めた稲船氏。コンセプト設立後は若い世代への教育にも力を入れ、「稲船塾」を開講するなど人材育成にも取り組んできました。

Mighty No.9とその他プロジェクトの軌跡

コンセプト初の大型プロジェクト「Mighty No.9」は、2013年9月にKickstarterでの資金調達を開始し、わずか40時間で目標額の90万ドルを達成しました。最終的には400万ドル以上(約4億円)を集め、Kickstarter史上6位、ゲーム分野では4位の調達額となりました。

当初はWindows向けゲームとして企画されていましたが、資金調達の成功によりPS4、Xbox One、Wii U、PS Vita、3DSなど多数のプラットフォームへの対応が決定。しかし開発は難航し、当初の2015年春から2016年6月21日まで延期されました。

ついに発売されたMighty No.9ですが、評価は芳しくありませんでした。PS4版平均スコア60点、Xbox One版58点、PC版53点と振るわず、「平板なグラフィック」「フレームレートの問題」「魅力のない能力」などが批判されました。

また2015年7月には「RED ASH」プロジェクトを立ち上げ、ゲームとアニメの2つのKickstarterを同時に開始。ゲーム版は目標額に届かなかったものの、中国企業FUZE Entertainmentからの出資を確保。一方でアニメ版は辛うじて目標を達成しました。

こうした度重なる開発延期や計画変更により、稲船氏とコンセプトの評判は次第に傷ついていったのです。

結論

稲船敬二氏とコンセプトの物語は、大きな希望と野心から始まり、最終的には静かな幕引きを迎えることとなりました。振り返れば、カプコンのトップクリエイターから独立起業家への転身は、日本のゲーム業界に新たな風を吹き込む試みでした。しかしながら、Mighty No.9の開発遅延や期待に応えきれなかった品質は、スタジオの評判を徐々に蝕んでいったのです。

「苦難を選ばなければ、つまらない」という稲船氏の言葉は、皮肉にも彼自身の起業後の道のりを予言していたかのようです。確かに、Kickstarterで400万ドル以上を集める成功を収めた一方で、実際の製品開発では数々の障壁に直面しました。それにもかかわらず、稲船氏がカプコン退社時に掲げた「アウトプットに制限を付けない会社」という理念は、多くのクリエイターに刺激を与えたことは間違いありません。

LEVEL-5との提携そして最終的な事業譲渡は、コンセプト単独では持続可能なビジネスモデルを構築できなかった現実を示しています。同時に、「クリエイターのサラリーマン化」という日本のゲーム業界の課題に対する稲船氏の問題提起は、今なお多くの議論を呼び起こしています。

結局のところ、コンセプトの閉鎖は一つの時代の終わりを告げるものです。ただし、稲船氏の挑戦精神と革新への情熱は、今後も日本のゲーム業界に影響を与え続けるでしょう。日本のゲームクリエイターがグローバル市場で競争するための新たな道を模索した先駆者として、稲船敬二氏の足跡は確実に残り続けるのです。