NOAA Ship Rainier、太平洋海域で重要鉱物資源の海底調査を開始
NOAA Ship Rainierは、アメリカ領サモア沖の30,000平方海里以上に及ぶ連邦水域で、新たな海底調査プロジェクトを開始しました。NOAAは2025年度予算から約2,000万ドルを投じて、この海域の海洋環境に関する地図、画像、サンプルを作成します。深海底には、マンガン、ニッケル、コバルト、銅、希土類元素などの貴重な資源が豊富に存在しています。特に、これらの重要鉱物は防衛システム、バッテリー、スマートフォン、医療機器など、幅広い分野で使用されており、アメリカの製造業にとって重要な要素となっています。本記事では、NOAA Ship Rainierの調査活動、深海底鉱物資源の価値、そして最新の調査技術について詳しく解説します。
NOAA Ship Rainierが太平洋海域で重要鉱物調査を開始
4月初旬、NOAA Ship Rainierはキングマンリーフとパルミラ環礁沖の太平洋海域で8,000平方海里以上の連邦水域をマッピングする調査を開始します。このプロジェクトはトランプ大統領の大統領令14285「アメリカのオフショア重要鉱物と資源の解放」に基づき、米国商務省が実施するオフショア重要鉱物マッピング計画の一環です[22]。
調査は2段階で実施されます。第1段階では深海でのマルチビームエコーサウンダーを使用したマッピングに焦点を当てます[22]。第2段階では、NOAA Ocean Exploration Cooperative Instituteと協力し、Orpheus Oceanの自律型水中車両を用いて高解像度の海底画像と地質サンプルを取得します[22]。
NOAA管理者のNeil Jacobs博士は「太平洋のこの海域を含む米国水域の約半分が現代の基準でマッピングされていない」と述べています。NOAAは調査結果として公開可能な地図と画像を作成し、調査海域での重要鉱物の存在可能性について連邦機関や関係者に情報を提供します[22]。この取り組みは深海環境の基礎理解を深め、重要鉱物に関連する探査、研究、管理プロジェクトを促進します。
深海底に眠る重要鉱物資源とその価値
太平洋深海底の水深4,000〜6,000メートルの海洋底には、球形のマンガン団塊が広範囲に分布しています。経済的価値の高い種類について具体的には、マンガン27〜30%、ニッケル1.25〜1.5%、銅1〜1.4%、コバルト0.2〜0.25%を含有します。また別の種類では鉄6%、ケイ素5%、アルミニウム3%のほか、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどを主に水酸化物として含みます。
これらの団塊は百万年で数ミリメートル程度という極めて遅い速度で成長します。資源量の観点から見れば、ハワイと中央アメリカの間にある東赤道太平洋のクリッパートン断裂帯が最も有望とされています。
南鳥島周辺海域では2.3億トンものマンガン団塊が確認されており、コバルト資源量は日本の年間消費量の約75年分に相当する61万トン、ニッケルは約11年分の74万トンと試算されました。海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥を合わせると最大180兆円相当の海洋資源が存在すると言われています。これらの金属はリチウムイオン電池、電気自動車のモーター、スマートフォンなど幅広い用途で使用されています。
NOAA Ship Rainierの調査体制と技術革新
1968年10月2日に就役したNOAA Ship Rainierは、全長231フィートの水路測量船で、オレゴン州ニューポートを母港としています。船体には最先端のKongsberg製EM2040およびEM304マルチビームソナーシステムを搭載し、10センチメートル以内の精度で水深測定を実行します。
調査体制では、13名のNOAA隊員、4名の沿岸警備隊免許を持つエンジニア、6名の無免許エンジニア、16名のデッキハンド、10名の測量クルー、4名のスチュワード、1名の電子技術者、1名のメンテナンス担当者に加え、最大8名の科学者が乗船可能です。
船には5隻の全長28フィートのアルミニウム製調査艇を搭載しており、各艇にはKongsberg EM2040マルチビームソナーを装備しています[153]。これらの調査艇はCummins QSC 8.3リッター490馬力ディーゼルエンジンで駆動され、24ノットで航行します。
さらに、差動全地球測位システム、測位システム、海底サンプラー、検潮器、音速計などの機器を備えています。実際に、ジェット推進ボートRA-2には16本のレーザービームを使用するライダー技術を搭載し、より安全に海底地形データを収集します。NOAAは収集したデータを国立環境情報センターを通じて無料で一般公開します。
結論
NOAA Ship Rainierによる太平洋深海底の調査は、アメリカの重要鉱物資源確保において画期的な一歩となります。最先端のマルチビームソナー技術と自律型水中車両を活用し、未踏の海域から貴重なデータを収集します。特に、マンガン団塊に含まれるコバルトやニッケルは、防衛産業や先端技術分野で不可欠な資源です。この調査プロジェクトは、深海環境の科学的理解を深めると同時に、将来的な資源開発の基盤を築く重要な取り組みと言えるでしょう。


