FTC委員長、アップルニュースの偏向疑惑で警告
FTC委員長がアップルに対し、Apple Newsアプリにおける政治的偏向の疑いが消費者保護法に違反する可能性があると正式に警告した。保守系メディア監視団体のメディア・リサーチ・センターが実施した調査によると、2025年1月にApple Newsの編集者が目立つ位置に掲載した620件の記事のうち、右派寄りとされる報道機関からの記事は1件も含まれていなかった。具体的には、The Washington Postから72件、Associated Pressから54件の記事が取り上げられた一方、Fox NewsやThe NY Postなどの保守系メディアからの記事は一切掲載されなかった。本記事では、現FTC委員長リナ・カーンによる警告の詳細、調査結果の分析、そして消費者保護法と言論の自由のバランスについて解説する。
FTC委員長がアップルに警告書を送付
米連邦取引委員会は2026年2月12日、アップルのティム・クックCEOに宛てた警告書を送付した。警告書を発出したのは、トランプ大統領に指名され2025年1月に委員長に就任したアンドリュー・ファーガソン氏である。
ファーガソン委員長は書簡の中で、FTCには企業に対して政治的立場を取るよう要求したり、イデオロギーに基づいてニュースを編集させたりする権限はないと明言した。その上で、複数の調査によるとApple Newsが保守系ニュースソースからの記事を一切掲載せず、リベラル系出版社の記事を何百本も宣伝していると述べた。
警告書は、政治的観点で記事表示を抑制したり優遇したりする行為が、アップルの利用規約や消費者の合理的な期待に反する場合、不公正または欺瞞的な行為や慣行を禁止するFTC法第5条に違反する可能性があると指摘した[31]。さらに、FTCはアップルに是正措置を求めた[31]。
一方、FTCは「言論警察ではない」としながらも、言論に関わる製品やサービスにおける不当表示もFTCの所管分野であると強調した。
メディア・リサーチ・センターの調査が明らかにした偏向
保守系メディア監視団体のメディア・リサーチ・センター(MRC)は、2025年11月3日から2026年2月13日までApple Newsの朝のトップ20記事を追跡調査した。MRCは各媒体の政治的傾向を分類するため、「オールサイズ・メディア・バイアス・レーティング」を採用した。
調査では、左派系メディアとしてThe Washington Post、AP通信、NBC News、The Guardian、The New York Times、Bloombergを分類し、中道派メディアとしてWall Street Journalやロイターを挙げた。右派系メディアにはFox News、New York Post、Daily Mail、Breitbart、The Gateway Punditが含まれた。
2026年2月の追跡調査では、保守寄り報道機関からの記事はわずか2%にとどまり、月末までに合計8本の中道右派メディアの記事が掲載されたのみだった。一方、左寄りと分類されるメディアの記事は、朝のトップ20ニュース欄だけで562本に上った。また、Apple Newsは朝のニュース欄で100日間にわたり中道右派の報道機関の記事を1本も掲載しなかった。
MRCのデービッド・ボゼル所長は「2%は進歩ではない。ダメージコントロールだ」と述べ、公の批判や連邦当局の調査を受けてもわずかな調整しか行われないことがApple Newsの偏向の根深さを示していると指摘した。
消費者保護法と言論の自由のバランス
FTC法第5条は不公正または欺瞞的な行為や慣行を禁止しており、連邦取引委員会は2022年11月10日に執行権限の範囲を拡大する新たな政策声明を発表した。本声明により、反トラスト法で必ずしも違法とされていない行為も執行対象となり、米国で活動する日本企業を含む多くの企業活動が規制される可能性が高まった。
しかしながら、言論の自由との緊張関係が存在する。1976年のVirginia State Board of Pharmacy判決において、連邦最高裁は営利的言論にも憲法修正第1条の保護が及ぶと判断した。それに加えて、間違いや誤解を招く広告には修正第1条の権利は保障されないと明確にした。商品の品質を虚偽的に表示する売主は、その意図が故意であれ過失であれ、州法に従って訴追される可能性がある。
景品表示法は優良誤認表示と有利誤認表示を禁止しており、消費者庁は事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。資料が提出されなかった場合や合理的な根拠を示すものと認められない場合には、不当表示とみなされる。
結論
Apple Newsの偏向疑惑は、要するに、デジタルプラットフォームにおける編集の透明性と公平性の問題を浮き彫りにした。FTCの警告は消費者保護法の観点からアプローチしているが、言論の自由との微妙なバランスも存在する。実際、テクノロジー企業が提供する情報サービスには、利用者の期待に応える責任がある。同様に、規制当局と企業の対話を通じて、より公正なニュース配信環境の構築が求められている。


